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筒井康隆『虚人たち』

筒井康隆さんの『虚人たち』を、Amazonマーケットプレイス経由でリサイクルブックから購入しました。この作品を買おうと思ったのは、フジテレビの夜の番組で紹介されているのを見て興味を持ったからです。その興味をもった点というのは、この作品が小説でありながら小説の約束事を徹底的に無視しているという点です。

小説が現実世界とは決定的に異なる点として「時間の流れ」があります。私たちの場合、いくらありきたりで変化の乏しい場合でも1分1秒を必ず過ごさなくてはならないのですが、小説では重要でないことは平気で切り捨てます(校門を出た主人公が、次の瞬間には自分の部屋にいたりします)。この作品で作者は、その時間のショートカットを行わず、1枚の原稿用紙を1分としてその間の出来事や状況をどうでもいいようなことも含めて書き続けています。そのような形式なので、主人公が気絶している時間などは延々と白紙のページ(!)が続きます。しかも、登場人物は小説に描かれていることを自覚しており、自分のお腹が減っているという状態が小説の中でどういう意味を持つのか(作者の意図は何か)を考えたり、移動中に延々と風景描写で内容が代わり映えしないので、ラジオを付けてその内容を描写するように他の登場人物が提案したりします。読んでみた印象としては、小説の内容よりも作者の試みを楽しむ作品のようですね。

『虚人たち』の落書きところで、本を受け取ってみると、左の写真のようにボールペンの試し書きのような書き込みが多数ありました。そのことをメールで指摘すると、すぐに代金返還と謝罪のメールが届きました。その対応が迅速で、かつ的確だったので、リサイクルブックにはかなり好感を持ちました。ちゃんと商品を確認して送るのは大切なことだと思いますが、むしろ普通に送られるよりも、今回のケースは満足度が高かったかもしれません。クレームをする時というのは、「何か対応してくれるだろう」という期待と「どうせたいした対応ではないだろう」という諦めが入り交じっているものだと思います。この場合は、無理な期待は元から無いので、満足させるためのハードルはそれほど高くありません。クレーム対応は顧客の満足を得るための大きなチャンスであるのは確かなんでしょうね。

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