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Winny開発者逮捕とその影響

P2Pファイル共有ソフトWinnyの開発者で東大助手の金子勇さんが著作権法違反幇助の疑いで逮捕されました。「幇助」とは、大辞林によると「有形無形の方法により他人の違法行為の実現を容易にすること」という法律用語だそうです。今回の逮捕にいたる段階で、作者が著作権侵害を助長する意図があったかどうかが一つの焦点だったようです。

ITmediaの「Winny開発者逮捕で波紋、P2Pの将来に懸念も」の中で、金子さんのハンドル(と思われる)47氏の書き込み内容が紹介されています。その中で47氏は、「P2P技術の進展で従来の著作権の概念は崩れる(再構築を余儀なくされる)だけであり、その流れが不可逆的なので、自分がその引き金を引いても良いと思った」という趣旨の発言をしています。今回、京都府警が逮捕に踏み切ったのは、これらの発言などから、Winnyが“結果的に”違法コピーに利用されたのではなく、作者が“意図的に”違法コピーを行える仕組みにした、と証明できると踏んだ上での行動のようです。

Winnyでは合法的なファイル交換も可能ですが、暗号化機能を有した高い匿名性が特徴としてあります。京都新聞の記事では、他用途に用いることが出来る「包丁」と、人の殺傷以外に目的がなく日本では禁止されている「拳銃」の例を挙げて、Winnyは違法コピー以外に目的のない「拳銃」のような存在と京都府警が判断した、と解説しています。

機能的に見ると、Winnyを「拳銃」的存在にしているのは「匿名性」でしょう。最近、Yahoo!JAPANが“画像・動画・音声検索サービス”を開始しました。このサービスは違法コピーにも悪用できそうですが、それでもYahoo!が米国でも行っていないこのサービスの開始に踏み切ったのは、違法性を問われないと判断したからだと思います。WinnyとYahoo!の最大の違いが「匿名性」の有無であり、これが開発者の責任を問われるかの鍵となりそうです。

今回の事件でP2P技術の発展に悪影響が出るのではないかと心配する声も多いようです。今後、P2Pソフトを開発した人は、ユーザーが行った違法行為の責任を取らされる危険性があります。また、著作権侵害を助長する機能を盛り込まない配慮や、著作権保護の機能を盛り込む手間が必要になるかもしれず、それらは開発者に大きな負担となるのは間違いないでしょう。

「著作権の保護」と「技術の進展」のどちらがより私たちの利益につながっていくかは議論の分かれるところです。著作者が自身の著作物から「当然受け取れるはずの利益」が違法コピーなどにより受け取れないとしたら、それは著作者の意欲を減退させ、より良いものが生まれる機会を損なうでしょう。ただし、現在の著作権の概念や、ミュージシャンとレコード会社などの契約形態がアーティストたちにとって十分に満足できるものかは疑問が残ります。

一方で、技術的な進展により著作権を十分に保護しつつ、容易にファイル共有が出来るようになる等の「技術的な解決策」が生まれるかもしれないのに、それに向かっての技術的な萌芽さえも摘み取ってしまう危険性が高いことは批判も多いところです。しかし、制作者に正当な対価も支払わないばかりか、楽曲や映画の違法コピーで著作者の利益をさらに損なう行動が蔓延している現状もどこかで修正を余儀なくされるのは間違いなかったでしょう。

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