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大崎善生『アジアンタムブルー』

アジアンタムブルー
アジアンタムブルー
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大崎 善生
角川書店 (2005/06/25)
売り上げランキング: 3,156
おすすめ度の平均: 4.33


以前紹介したことのある『パイロットフィッシュ』の大崎善生さんの小説です。主人公はアダルト雑誌編集者の山崎という人物です、と書くと『パイロットフィッシュ』を読んだ方は同じ設定だと気付かれるかもしれませんが、こちらの主人公は10歳ほど年齢が若く設定されており、『パイロットフィッシュ』の中の“別個に存在して影響し合う現在と過去”ではなく、愛する人を失った喪失感という“過去の続きとしての現在”がこの作品では描かれています。

『パイロットフィッシュ』を読んだ時に衝撃すら感じた心に直接訴えかけるようなフレーズの数々はこの作品でも健在です。山崎隆二と葉子のストーリーもシンプルで極めて完成度の高いラブストーリーに仕上がっています。その一方で、山崎の少年時代や冒頭の山崎と中川宏美のエピソードは不要な感じもします。素晴らしい作品だけにその点だけ気になりましたが、「泣ける小説」という分野なら最高級に位置づけられる傑作です。

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