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出井康博『松下政経塾とは何か』
2005年09月27日
出井 康博
新潮社 (2004/11)
売り上げランキング: 44,121
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民主党の前原誠司代表、神奈川県の松沢成文知事、横浜市の中田宏市長などを輩出した政治家育成団体・松下政経塾の野望と挫折の歴史を描いた作品。松下政経塾は、1979年に松下電器産業の松下幸之助氏の投じた私財を元に設立された財団法人で、幕末の松下村塾をモデルとして、坂本龍馬のような天下国家を支える政治家の輩出を目的として設立された団体です。冒頭で“挫折の歴史”と書きましたが、この著者の意見は、松下政経塾は当初の目的を果たす団体としてはすでに機能しておらず、役目は終わったということのようです。
松下政経塾が本来の目的を果たせなくなった一つの原因は、政治と非政治のバランスがあります。松下政経塾は在塾期間に将来のための思索を深め、政策を固めることを目的としていたようですが、松下幸之助氏を含めた運営側にも首尾一貫したポリシーのようなものがなく団体は運営方針を巡り迷走を繰り返しました。現在では政治家志望の若者が入塾してすぐに出馬を行い、選挙に勝つためだけの踏み台にしかなっていないケースも多いようです。
本書を読む限り、松下政経塾生の躍進があったとすれば、それは初期に集まった人材の個性に引っ張られた形が強かったように見えます。松下政経塾出身というと一括りに見がちですが、政治思想や年代によって内部事情は様々であり、本書を読むことで新たな側面が見えてきます。松下政経塾の先行世代はベテランに属する年代に入ってきており、政界での重要性も増しているだけに、一度目を通しておきたい良書だと思います。
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