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堺屋太一『団塊の世代』

団塊の世代
団塊の世代
posted with amazlet on 06.02.05
堺屋 太一
文藝春秋 (2005/04)
売り上げランキング: 13,319


今後の日本における一つの転換点として、「団塊の世代の退職」がこの数年話題になることがしばしばありました。IT業界でも「2007年問題」などと言われ、大型基幹システムの知識を持った技術者の引退が行われる一方で、スキルの世代間移転がうまくいかず、保守が困難になるのではないかなどの声もあります。この小説は、1970年代に書かれて「団塊の世代」という言葉を定着させることになった堺屋太一氏の作品の新版です。

この小説は「予測小説」という手法を用いており、執筆当時の経済指標などを分析して今後の日本の状況などを予測した上で、その世界を舞台にして執筆を行っています。この本の中には全部で4話が収められており、80年代前半、80年代後半、90年代半ば、2000年の日本を舞台に、団塊の世代に属する別々の主人公が登場します。各主人公にはつながりはありませんが、この世代が直面する構造的な問題やその世代に属する人々の憂いに焦点を当てているのでテーマとしては一続きの作品と言えます。

この作品は新版ですが、「新版に寄せて」という現在から見た著者の団塊の世代の歩みの分析が加えられただけで、小説自体には特に手を加えていません。そのため、バブルの熱狂や失われた10年という著者の想像も超えたような社会現象は反映されていませんが、現在の団塊の世代に対する世間の受け止められ方のようなものは十分に的確であり、読んでいて違和感を持たずに読むことが出来ました。団塊の世代がどのように捉えられてきたかを知るためにも、目を通してみる価値はあると思います。

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